あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。
今回のテーマは、離職率低減についてです。
厚生労働省が発表した2040年の日本の就業者数によると、経済成長がゼロベースの場合5,245万人となり、17年の6,530万人と比較すると、約20%減少すると試算しました。
下のグラフは直近の有効求人倍率の推移でありますが、リーマンショック以降は右肩上がりとなっており、先述した就業者数の減少と合わせると、今後も求人環境の悪化は不可避であります。
出典:厚生労働省「職業安定業務統計」
人口減少、少子高齢化など、今後の日本における経済活動は「人材確保」の視点からは、見通しが困難な状況ですが、一方で、AI、IoTなどの進化によって「人の生産活動」がそれに置き換わる事で、人不足から解放される業界や業種もあるでしょう。
とは言え、それはまだしばらく先の事であり、当面は人不足の解消をどのように行うのかは、経済界全体の課題ではないでしょうか?
◆人不足を解消するには
人不足を解消するには、以下の二つの視点があります。
1、 入社促進
2、 離職防止
人をジャブジャブ採用し続けるか、人が辞めないようにつなぎ留めておくかのいずれかです。
ひと昔前までは、「1」の戦略を強化すれば事足りたでしょう。実際そのような「人の高回転型組織」は巷にいくらでもありました・・笑
当時、その戦略で良かったのは採用が容易だっただけではなく、働く人は「歯車」の一つとして考えられていたという背景もあります。つまり、極端に言うと知的労働者ではなく肉体労働者として「何も考えなくていいから、言われたことだけをやる」ことを、求められていたのです。
しかし、現在は時代も変化し「歯車」として一定の行動から決められたアウトプットを出すだけではなく、自らが考えて外的環境の変化に対応し、決められたアウトプット以上、若しくは決められたアウトプット以外のものを生み出す事を求められます。
加えて、採用環境の悪化です。
もはや、「人の高回転型組織」運営は完全に古びた過去の遺物と言えるでしょう。
◆離職率が高いのは本当か?
では、「2」の戦略はブラッシュアップ可能なのでしょうか?
よく言われるのが新卒の離職率は3年で3割ですが、これを高いと捉えるか低いと捉えるか、はたまたこんなものだと捉えるかは個社毎(業種・業界)に異なると思います。
※下表参照
実際には、新卒の離職率はこの20年間、ほとんど変化していないのが実態ですが、皆さんはこの数字をどう思われますか?
※下記リンク参照
厚生労働省資料:離職率推移
一方で、極めて低い離職率を実現している会社もあります。
どのような視点から離職率低減を実現し、維持しているのでしょうか?
その前に、離職する人の意思決定の要因を確認しておきたいと思います。
出典:エン・ジャパン株式会社【退職のきっかけに関するアンケート】
上位は、環境的な要因が占めており、その下あたりには内発的動機に関わる要因が続いているのが分かります。
では、離職率が低い会社はどのような視点から取り組みをしているのか?。
基本的には二つの視点からのアプローチにより、離職率を低減する事に成功しています。
二つの視点をは、ハーズバーグの二要因理論に基づくものです。
ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)とは、アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論。人間の仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるということではなくて、「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生要因)は別のものであるとする考え方です。
◆衛星要因(不満を引き起こす)
人事制度、評価制度、給与体系、オフィス環境、社内制度、福利厚生など
◆動機付け要因(満足を引き出す)
やりがい、働きがい、仲間との関係、上司との関係、会社のミッション・ビジョン、選択の自由さ、心理的安全性など
どこからどのように手を付ければ良いかは、その会社のコンディションによって異なりますが、衛星要因だけでも動機付け要因だけでも離職率低減には効きません。
いずれにしても、実行して即結果が出るものはほぼ無いという事です。
長期目線で、かつスピードをもって取り組めるかが大切です。
もはや後戻りする事など不可能な「不確実で混沌」とした環境下で事業継続する以上は、早めに手を打つ事で得る物は大きいが損失するものなど何もないのではないでしょうか。
人が辞めない会社は、人が入りたい会社でもあります。
了
出典及び参考文献
厚生労働省
エン・ジャパン株式会社
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