組織で働いていると、様々な課題に直面します。
「売上を伸ばすには、どうしたら良いのか?」
「離職率が下がらないのは、何故なのか?」
「優秀な人材を採用するには、何をするべきなのか?」

これらの課題を解消するソリューションは何でしょうか?
・リピートを獲得するために、既存顧客に対してのアプローチを強める
・新規顧客を取り込むのに、社内でキャンペーンを行う
・社内コンディションを可視化するような、サーベイを導入する
・採用チャネルの見直しや、リファーラル採用などの新たな取り組みをする

どれも、あたり前のように出て来そうなソリューションであり、どれも、決して間違った打ち手ではありません。
しかし、何かが足りないと思いませんか?

ちなみに、以下の課題に皆さんなら、どのようなソリューションで対応しますか?

皆さんは、オフィスビルのオーナーです。
最近複数のテナントから、「エレベーターが遅く、待ち時間が長くて困っている」という、クレームがきました。
このクレームを解消するためのソリューションは何でしょう?

恐らく、殆どの人が瞬時にいくつかのソリューションを思い浮かべるでしょう。
・エレベーターのモーターを最新で強力なタイプに替える
・エレベーターを増設する
・エレベーターのアルゴリズムをアップグレードする

このように、この問題の根本は「エレベーターの速度」であり、当然そこに焦点をあてた解決策が提示されるでしょう。
ところが、ここで採用された解決策は実にセンセーショナルなものでした。

それは「エレベーターの横に鏡を設置する」だったのです。

人は思わず見入るものがあると、時間が経過するのを忘れがちになる。
この場合の見入るものは「自分」なのです。
鏡というソリューションは実に興味深い。これはテナントから出た苦情の解決策ではないのです。
鏡を設置してもエレベーターの速度は速くならない、その代わりにエレベーター待ちしている人の時間の速度を変えるという手段なのです。

ここで留意して頂きたいのが、当初のエレベーターの速度に焦点をあてたことが間違っていたわけではありません。
当然新しいエレベーターを設置すれば万事OKだったでしょう。

この場合の重要なポイントは、解決すべきより良い問題がないかと探る事なのです。

では、冒頭の「売上」「離職」「採用」の課題は如何でしょうか?
もし、会議やミーティングのアジェンダに、「売上UPのための、新たな打ち手について」や、「離職率低減施策に関する意見出し」などと、書かれているならば、それは、会議で議論する「問」として最適なのかを議論する方が先なのかもしれません。

もともと、私たち日本人は、課題に対するソリューションの洗い出しは得意です。
しかし、問の立て方を間違えると、そこから導き出されるソリューションも最適とは言えないでしょう。

現代は便利な世の中になりました。
解決策を知りたければ、Googleの検索窓に「問」を入力するだけで、答えを教えてくれます。
しかし、その便利な代物ですら、適切な「問」を投げかけなければ、最適な解を教えてくれることはありません。

先行きが見えにくいVUCAワールドだからこそ、正解を出す事に時間を費やすのではなく、最適解を導くための
「問」を立てる力を磨き込む事が求められるのではないでしょうか。

参考文献
ハーバードビジネスレビュー 2018年2月号

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問を立てる力を磨き込むワークショップ
課題設定力ワークショップ
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