アンコンシャス・バイアスをご存知でしょうか?
ここ数年、人材育成や組織開発で重要なキーワードとなっています。

アンコンシャス・バイアスとは?

アンコンシャス・バイアスとは、「無意識の偏見」という意味ですが、端的に言うと「思い込み」です。

そして私たちは、多くの「思い込み」に囚われ生きています。

例えば・・
眼鏡をかけている人は真面目だ。
前例のない事へのチャレンジは困難である。
上司に意見を言うのは無駄な事。
会社のルールは変えられないものである。

などなど、人それぞれ捉え方は異なれど、私たちは数え切れない程の「思い込み」を抱えており、
それは時に、仕事で高いパフォーマンスを発揮する事を妨げたり、
周囲と良好な人間関係を築くのに、弊害をもたらしているのです。

では、「思い込み」とは何なのでしょうか?

「思い込み」とは、過去の経験、体験、教育から積み上げられたデータベースです。

子供の頃、真面目で優秀な同級生が眼鏡をかけていた。
学校の先生に、将来ヒーローになりたいと語ったら、「そんなのなれる訳ない!」と、一蹴された。
社会人になって初めての上司が、部下の意見に全く耳を貸さなかった。
学生時代の部活動で、ルールを破ったら先輩からこっぴどく叱られた。

このような経験の積み重ねで、「思い込み」は構築されていきます。

そして、目の前で起こっている「事象」に対して、意識的に思考せずとも
無意識的に膨大な量の過去データを検索し、過去のパターンと照らし合わせて、
瞬時に仮説を導き出すのです。

つまり、仮説=思い込みという事です。

直観とも言えるこの「思い込み」は、私たちの意思決定において素早く行動を起こすという意味で、
とても重要な役割を果たしています。

しかし、厄介なのは瞬時に導き出した仮説を、事実だと誤認してしまうところにあります。

もちろん、導き出した仮説が事実の場合もありますが、事実でない場合に多くのネガティブな
事象を引き起こします。

人間関係の場合

例えば、育休明けの女性社員の部下対して、「育休明けだから、楽な仕事を好むはず」
という仮説を無意識的に導き出したとしたら、恐らく、責任が重くない単純なタスクを任せるでしょう。

しかし、この仮説が育休明け全ての女性社員に当てはまるとは限りません。

また上司が、声が大きく自分の意見を堂々と言えるタイプの人物だったとしたら、
「この人に、自分の意見を言ったところで、反論されるからムダ」という仮説を導き出し、
何も意見を言う事無くYESマンに徹するかもしれません。

しかし、この仮説が全ての声の大きい人に当てはまるとは限りません。

このように、相手に対して「この人はきっとこのようなタイプの人だ」と、思い込むことで、
小さなコミュニケーションのズレが生まれ、それらが蓄積される事で大きな人間関係の
問題に発展してしまいます。

仕事におけるパフォーマンスへの影響

新しい仕事へのチャレンジを、リスクと捉える。
部署異動などで、環境が変わる事を極端に嫌う。

などと、変化を伴うことをネガティブに捉える方は多いのではないでしょうか。
これは、ある種の自己防衛ともいえる思考パターンですが、これも「思い込み」です。

もしかしたら、
子供の頃、両親から少しでも離れたところで遊んでいたり、ちょっとでも高いところに登ったりすると、
「危ないからやめなさい!」などと、好奇心に任せ行動する事を抑制された経験があるかもしれません。

このように、制限がかかった状況では、最適な意思決定をする事が出来ず、機会損失に繋がる恐れがあります。
言わば、心のブレーキとも言えるでしょう。

アンコンシャス・バイアス(思い込み)に対処するには?

では、このような「思い込み」に、どのように対処すれば良いのでしょうか?

まずは、自分の「思い込み」(思考パターン)に気付く。
・自分自身の確信を疑う事を意識する
・メタ認知を高める(マインドフルネス)

「思い込み」に気付いたら、360℃の視点からその事象を見てみる。
・自分の確信に反論してみる(クリティカルシンキング)
・相手の立場になって考えてみる、若しくは相手に聞いてみる。

まとめ

色々と書きましたが、アンコンシャス・バイアス(思い込み)は、悪い事ばかりではありません。
アンコンシャス・バイアスに気付き適切に対処すれば、前述したように素早い意思決定を
後押ししてくれるものでもあります。

問題なのは、アンコンシャス・バイアスに気付かずに、「思い込み」に確信を持って行動してしまう事です。

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