貴社では、このような傾向はないですか?
やりがいよりも、やらされ感が高い社員が多い・・
もし、そう感じていたとしても、それは特別異常なことではありません。
日本人で、仕事に熱意を持って取り組んでいる人は6%しかいない。
これは、米ギャラップ社が世界各国の企業を対象に調査した結果です。
ちなみに
「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%
「やる気のない社員」は70%
となっています。
調査対象139カ国中132位と、最低レベルの結果です。
なので、貴社にやらされ感が高い社員が多い傾向があるとしても、それ自体が日本全体の傾向なのです。
とはいえ、このまま放置も出来ませんよね。
では、この問題にどのように対処すれば良いのか?
アプローチの選択肢は無数にあります。
マネジメント、リーダーシップの変革
ウェルビーイングを高めるための組織風土醸成
内発的動機を喚起するための1on1
などなど。
その中でも、今回は社員自身の仕事への捉え方や、やり方に変容をもたらす手法である「ジョブクラフティング」についてご紹介したいと思います。
さて、ジョブクラフティングという手法をご存じでしょうか?
ジョブクラフティングとは、仕事の捉え方や、やり方などを自ら主体的に修正することで、一見退屈に思える普段の仕事にやりがいを見出していく手法です。
米イェール大学経営大学院のエイミー・レズネスキー教授とミシガン大学のジェーン・E・ダットン名誉教授が、2001年に提唱した理論です。
お二人がジョブクラフティング理論を提唱したきっかけは、病院のお掃除クルーに、仕事のやりがい調査を行ったことによるものでした。
調査の結果・・
「誰でも出来る簡単な仕事で、やりがいなんて感じないよ」
「日々のルーティンをこなすだけのつまらない仕事だよ」
と、答えたグループと。
「私たちの仕事は掃除だけに留まらず、お見舞いにきた方へのアテンドなど広範囲に渡るから、とてもやりがいを感じるわ」
「病院で過ごす方が快適にいられるよう様々な工夫が必要になる、とても難しい仕事」
と、答えたグループに分かれたそうです。
同じ仕事をしていても、その仕事に対して異なる“見方”をしているのはなぜなのか?
その問から導き出されたのが、ジョブクラフティング3つのアプローチです。
■ジョブクラフティング3つのアプローチ
・タスク
・リレーション
・コグニティブ
ジョブクラフティングの狙いは前述のとおり、仕事の捉え方や、やり方などを自ら主体的に修正し、仕事をよりやりがいのあるものへと変容させることです。
やらされている感覚から、やりがいを持って仕事に向き合うことで、個々のモチベーションUPに繋がるとともに、組織としてのパフォーマンス向上も期待できます。
ジョブクラフティングの具体的な手順は主に、以下の通りとなります。
※弊社研修プログラムより
1、自己認識を深める_エンジンを知る
自己を客観視し、「自身の強み、大切にしている価値観、情熱を注げること」などを言語化する。
2、自己認識を深める_ブレーキを知る
課題となる行動、考え方を引き起こしている真因を言語化する。
3、ジョブクラフティングしたい仕事をピックアップする
自分軸(やりがい、強み発揮など)と、他者軸(貢献、影響など)を定量化して、ジョブクラフティングする仕事を絞り込む。
4、ジョブクラフティングをする
タスク、リレーション、コグニティブの観点でジョブクラフティングを行う。
5、アクションを決める
ジョブクラフティングした仕事の中から、重要度、緊急度の観点で実行に移すことを決める
6、振り返る
実行してみての振り返り。変化は?気づき学びは?修正する必要は?
さて、何となくイメージは掴めましたでしょうか?
最後に、もし、貴社でジョブクラフティングの導入を検討される場合、1点留意していただきたいことがあります。
それは、「ジョブクラフティングを本人任せにしない」ということです。
例えば、ディズニーランドのお掃除クルーが、ゲスト(来場者)を楽しませるために、ほうきと水を使って地面に絵を描いているのを見かけたことがある方も多いと思いますが、あれは、アルバイトのキャストがやり始めたことで、まさにジョブクラフティングにおけるタスククラフティングと言えるでしょう。
本人の創意工夫が大きいところではありますが、その背景にはディズニーの上位概念として、顧客ファーストのホスピタリティ精神があるからに他なりません。
つまり、本人にジョブクラフティングして、自分でやりがいを見出してね!、だけではなく、会社としてもジョブクラフティングを後押しするような風土や、創意工夫を受け入れる自由度などを作り上げる努力をしなくてはならないということです。
単に、会社が求める成果を出していれば良い時代は終わりました。
結果はもちろんのこと、その過程において自分自身が仕事を楽しめているのかが重要視されると共に、その過程を意図的に創出することが求められています。それが、結果として個々のパフォーマンスを高め、組織のより高い成果につながるのです。
了
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