今回のテーマは「モチベーション」です。

私が独立前に、働いていた会社が大切にしている価値観は、「圧倒的な当事者意識」でした。
では、圧倒的な当事者意識とはいったい何なのでしょうか?
それは、「自分の仕事を自分事として捉え、行動へと転換する在り方」です。
それは、ある意味での経営者マインドにも似ているものだと思います。

その「圧倒的な当事者意識」の根低にあるのが、今回のテーマでもあるモチベーションなのです。

現在の日本において、どれだけのビジネスパーソンが、自分の仕事を自分事と受け止めているでしょうか?
どれだけのビジネスパーソンが、自分の仕事そのものにモチベーションをもって、取り組んでるのでしょうか?

そもそもモチベーションとは、どのように定義されるのでしょうか?
様々な解釈があると思いますが、ここでは“人が行動するための要因” とし、以降に進みたいと思います。

人が行動する要因とはどのようなものがあるでしょうか?
お金
地位
モノ
承認
自己成長
貢献
利他的な目的
などなど、これら以外にも多くの要因があり、正解はないという事になります。

つまり、人それぞれでOKなのです、

しかし、上記にあげた中の「カネ、地位、モノ」は本当にモチベーションにつながるのでしょうか?

ゴア元副大統領のスピーチライターを務めた、ダニエル・ピンク氏のTEDトークでこのような話がありました。※一部要約

「1990年代中盤、Microsoft社は「Encarta」というweb百科事典を出しました。」
「皆にきちんと報酬を支払って作りました。プロに記事の執筆、編集を依頼し、
高給取りのマネージャーにプロジェクトの予算や締切の管理をさせて・・」

「数年後に、新たな百科事典が誕生しました。」
「それは、執筆者には報酬は一切払われず、やりたい人だけが無給で参加する方式で。」

それから10数年後の2010年には、どちらかの百科事典は世界的に大きく成長し、一方は提供を中止します。

成長を遂げたのは後者のWikipediaです。

高額の報酬を得て、プロジェクトをキチンと管理しながら戦略的に作られたマイクロソフトの百科事典は、なぜWikipediaに勝てなかったのでしょうか?
Wikipediaに参加した人たちには、報酬が支払われず名誉も与えられないばかりか、執筆のための時間さえ大きく浪費します。
なのになぜ?

そこには、貢献、コントロール、意義という3つのキーワードがあります。

自分が持っている知識が誰かの役に立つという“貢献”
百科事典に書き込む内容や時期は、自分自身で“コントロール”可能である。
そこに参加する“意義”。

これはもはや常識となりつつありますが、アメ(報酬や地位)とムチ(罰則)は、短期的に大きな成果を上げようと
する時には有効ですが、長距離走の動機付けには向きません。
むしろ、隠蔽や虚偽などの逆効果をもたらす事もあるでしょう。

そして、当然ながら事業は長距離走です。
短距離走の積み重ねではない長距離走です。
※時には短距離走も必要

その時に重要になって来るのが、貢献、コントロール、意義です。

つまり、自分は何の(誰の)ためにこの仕事をしているのか?
その意義は何なのか?
自分で選択できる裁量はどれだけあるのか?

自身が行動するための要因を知るためには、この3つを内観する事が重要なのです。

そして、内観のポイントは「不必要な思い込み」が、自分をどれだけ支配しているかに気付く事と
自分が持つ本当の価値観を知るという事です。

不必要な思い込みに気付くと、出来ない言い訳(他責)から、乗り越えるために何が出来るのか(当事者意識)へと思考のパターンが変化し、コントロール可能な範囲も広がるでしょう。
価値観を知る事で、仕事において自分自身が何に心躍らせられるのかを知る事が出来るでしょう。

モチベーション=やる気=やってて楽しい!
だからこそ、持続的に主体性をもって率先して行動し、障害を乗り越えるためのアイデアを思考出来るのではないでしょうか。

これが出来ている組織は、居酒屋での愚痴も減ると思いませんか?

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