皆さんは以下の問をどう考えますか?

業績が上がるから社員が幸せになるのか?
社員が幸せに働くから業績が上がるのか?

国連が毎年発表している、GNH(国民総幸福量)ランキングで日本は156カ国中54位となり、先進7カ国(G7)
では、最低となってます。

World Happiness Report 2018

 

測定基準は以下のとおり
・GDP(一人あたり国内総生産)
・社会的支援(頼れる相手が身近にいるか)
・健康寿命
・人生を選択する自由
・他者への寛容さ(過去1か月の間にチャリティ等に寄付をしたことがあるか)
・汚職のない社会

この中でも、際立って低いのが4番目の「人生を選択する自由」と、5番目の「他者への寛容さ」です。

人生を選択する自由が何故低いのか?

最も影響を与えているのは、教育かもしれません。
日本の教育は、同一性を重視する傾向があり、皆と同じであることや、たった一つの正解を導き出す事を要求され、
その箱の中で優劣をつけて、上位の人は優秀で下位の人は落ちこぼれというラベルを貼られます。
更に、最良の人生は良い大学に合格し、大企業に就職する事だとも教えられます。
これは、ビジネスの場に出てからも言える事で、会社や上司が求める正解を出し、認められ、早く出世をし高い給料をもらう事
がの成功ひとつであるとされています。
故に、働く多くの人が会社から評価されるため、上司から褒められるために日々の仕事をこなし、それにより昇進し所得を上げる
事に邁進する。
多くの人が、「働く目的は家族の幸せ」と言いながらも、家族との時間を犠牲にしてまで労働や、それに関連する人付き合いに
労力を割く。
そして、何故そこまするのか?と問いかければ、帰ってくる多くの答えは「仕方ない」「しょうがない」
自分には、この選択肢以外ないのだと、「仕方ない」、「しょうがない」を連発する事が、人生を選択する=自分の人生を自分
でコントロールする事へ、低い評価を付けさせているのではないでしょうか。

他者への寛容さは何故低いのか?

ここでの寛容さとは、前述した通り「過去1か月の間にチャリティ等に寄付をしたことがあるか?」でありますが、そもそも日本人は
チャリティやボランティア精神が低いと言われてます。
ちなみに一世帯当たりの年間寄付額は・・
アメリカ:約260,000円
日本:約2,400円
アメリカは日本の100倍以上の金額を、寄付や募金に費やしています。

これには以下のような原因があると思います。
・寄付やチャリティは“うさんくさい”という前提がある。そもそも寄付したお金は適切な所に届くのか?など。
・誰かに手を差し伸べるのは照れくさい。赤い羽根募金など駅前でやって時に、募金したいと思いつつも素通りした経験はありませんか?
このように、日本人は慎重でシャイな一面を持っているので、チャリティの文化が根差さないのかもしれません。

では、仕事においての他者援助、他者貢献はどうでしょうか?
現代のビジネスパーソンにおいて、マルチタスクは当たり前、加えて働き方改革による残業削減などで労働時間の短縮を求められ、
時間的制約が厳しい状況で多くの仕事量を熟さなくてはなりません。
果たして、そのような環境下で自分の仕事を止めてまで、他者援助や他者貢献が出来るでしょうか?

もりろん、このランキングで、日本人は幸福度が低いと決めるのは早計ではありますが、上記の基準で測定した場合には、ひとつの
事実として認識する必要があるのかもしれません。

もうひとつ。
米国最大の調査会社であるギャラップ社が、全世界1300万人のビジネスパーソンを調査し、導き出したエンゲージメントを測定した
「Q12(キュー・トゥエルブ)」の結果によると、日本企業はエンゲージメントの高い「熱意あふれる社員」の割合が6%で、米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位レベルでした。
更に、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は23%、「やる気のない社員」は71%に達しました。

ギャラップwebサイト

 

この結果を見る限り、日本のビジネスパーソンの90%以上の人たちが、日曜日の夜を憂鬱に過ごしている事が伺えます。
もちろん、こちらのデータも100%鵜呑みにする必要はないと思いますが、現実は如何でしょうか?

では、幸せに働くにはどのようにすれば良いのでしょうか?
慶応大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の教授である前野氏によると、人が幸せに働くために必要な4因子が
あると著書で仰っており、それが以下です。
・やってみよう因子⇒目的に向けてチャレンジし、その中で成長を実感出来ている感
・ありがとう因子⇒他者との関わりの中で、繋がりを感じ感謝の気持ちを持ってる感
・なんとかなる因子⇒悲観的ではなく楽観的で、自己否定ではなく自己受容が出来てる感
・ありのままに因子⇒他者と比較可能な、地位や報酬に目を向けるのではなく、自分が実現したい事にひたむきになれいる感

上記の4因子を組織に置き換えるとこのようになるのではないでしょうか。
・報酬や昇進だけが未来にあるのでではなく、社員が仕事を通じて実現したい未来を描けている。
・人間関係の摩擦による、不要な腹の探り合いに労力を割くのではなく、目標や目的に向かって建設的かつ協力的な繋がりがある。
・Whyを中心とした管理型マネジメントではなく、Whatを中心とした委任型マネジメント。
・短期的結果(利益)だけではなく、未来のスケールに繋がる種をどれだけ蒔けているかの長短2軸での評価

いかがでしょうか。
冒頭の問の答えはそれぞれですが、前出の前野氏によると幸せに働く人は、そうでない人と比較して創造性が300%
生産性が130%発揮されるそうです。
当然だと思います。。
砂場で砂遊びがしたくてたまらない子供が作る砂の城と
ガキ大将にイヤイヤ砂場に連れて来らた子が作る砂の城
どっちが、立派な砂の城になるかは明白です。
人生の大半を共にする仕事が、やらされ感満載だったら人生そのものがつまらんですね・・

出典及び参考文献
World happiness report
ギャラップ社 Q12
幸福学×経営学 内外出版社

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