皆さんの会社では、働き方改革の浸透は如何でしょうか?

今回は、働き方改革における取り組みや、成果計測を「日本の人事部・人事白書2018」のデータをもとに
紹介すると共に、その裏に潜む深刻な課題についてレポートします。

そもそも、働き方改革とは、日本の人口減少に連鎖する形で顕在化した、労働人口の減少という課題に向けた国の政策です。

働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを
増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。

出典:首相官邸

働き方改革というと、労働時間の削減に目が行ってしまいがちですが、その守備範囲はかなり広く、ダイバーシティなども
その一部を担っています。
◆主な働き方改革
・労働時間削減 ←今回はここがテーマ
・女性の社会進出と活躍
・高齢者の活躍
・正規、非正規の格差是正
・生産性改革
・パラレルワーク推進
など。

では、世の中の働き方改革はどの程度進んでいるのでしょうか?今回は労働時間削減を軸にデータで紹介します。

Q1:残業時間削減に向けた取り組み
積極的に取り組んでいる 37.8%
取り組んでいる 49.8%
現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定 7.5%
取り組む予定はない 4.9%
取り組み自体は、85%を超える企業で実践されており、うち大企業(従業員数5001名以上)では100%が取り組んでいる
と回答している事から、市場への浸透度は高いと言えます。
取り組む予定はないと回答している企業の60%以上で、「既に残業時間が少なく、課題がない」との理由を挙げています。

Q2:残業時間削減に向けて効果があった施策
経営層によるコミットメントメッセージの発信 35.3%
退出を促す制度(ノー残デー、定刻消灯、退出命令など) 34.1%
業務の見直し 29.0%
残業申請ルールの見直し 27.5%
以下、各部署を競わせる15.1%、増員12.2%、会議の簡略化12.0%などが続きます。
やはり、TOPメッセージは効果があるようですが、部門やチームのリーダーがどのように残業削減に向き合っているかで、大きく
変わりそうです。

Q3:隠れ残業の実態把握
増加している 5.0%
把握してないが、恐らく増加している 23.5%
把握してないが、恐らく増加していない 31.5%
増加していない 30.3%
把握していない 9.7%
増加していない事実を把握している企業が、約30%しかないというのは少々危険な印象を受けます。
隠れ残業の実態は、上層部には伝わりにくいですが、現場レベルでの情報伝達速度は相当なものです。
隠れ残業の噂が拡大⇒会社の打ち手への批判となり、エンゲージメントの低下や離職の増加に繋がるためリスクは大です。

Q4:テレワーク・リモートワークの導入
全社員対象 9.0%
一部社員を対象 25.5%
導入していないが今後導入予定 22.3%
導入しておらず導入予定も無し 38.1%
その他 5.2%
調査結果からは、まだそれほど浸透はしていない感がありますが、web会議システムなど様々なツールの進化に沿って、今後は伸びて
行きそうな気配があります。
会社として子育てや介護との両立を支援し、気持ちよく働ける環境を用意することも、採用難なマーケット状況において選ばれる会社
の条件になるかもしれません。

Q5:テレワーク・リモートワーク導入後の効果 ※複数回答可
社員のモチベーション向上 54.2%
生産性の向上 42.9%
エンゲージメント向上 35.5%
人材の確保 34.0%
企業イメージ向上、PR効果 26.6%
導入前の懸念としては、顧客対応や社内コミュニケーション・マネジメントへの支障、時間に対してルーズが許されると勘違いする
社員が出てしまう、などが多くあげられると思いますが、実際に導入した企業の多くがその効果を実感しているようです。
一方で、導入後の問題として多くの票が集まったのが、「対象でない部門の社員から不満の声が上がった」でしたので、運用のバラ
ンスと、腹落ちする説明は必要でしょう。

以上の様に、労働時間削減への打ち手は益々進む一方ですが、それらを実践する社員が本質を理解して納得感を持って遂行し
ているかが大きなポイントのように感じます。
だとすれば、会社としては「なぜ働き方改革を進めるのか?」、「その先の未来には、どんなゴールがあるのか?」を明確にして、落と
し込み、人事制度や評価制度もそこに寄せていく必要があるのかもしれません。

データ引用:「日本の人事部・人事白書2018」より

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。